PRINCIPLES

強くなる仕組み

なぜ、その考え方で強くなるのか。具体的な手法を選ぶ前に、その土台になる4つの原則を整理します。

Specificity

特異性

トレーニングで生じる適応は、実施した動作、筋活動、可動域、負荷域と、評価する能力との対応関係を受けるという原則。

この項目で分かること

  • 刺激と評価項目の一致度を、トレーニング効果を読むための基本軸として扱う。
  • 異なる反復域の介入で、評価項目ごとの適応が同じでない可能性を整理する。
範囲・限界・根拠を詳しく見る
比較する範囲
競技動作へ近づけることだけを意味せず、最大筋力、筋持久力、筋肥大など評価する成果を分けて扱う。
研究対象
健康成人を中心とする研究概観と、未訓練男性を対象にした介入研究。競技パワーリフターを直接代表する資料ではない。

限界

  • 対象は未訓練者の短期研究で、スクワット・ベンチプレス・デッドリフトの全種目や長期の競技計画にそのまま当てはまるとは限らない。

参考にした研究

review / position stand / 学会position stand / overview

対象:18歳以上の健康成人を中心とするsystematic review群。

確認できること:筋力向上、筋肥大、身体機能を分けて、刺激の条件との関係を整理できる。

限界:競技パワーリフター固有の動作選択や競技前調整を直接評価していない。

ACSM Position Stand: Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults

情報を確認した日:

Progressive overload

漸進性過負荷

適応に応じてトレーニング刺激を時間とともに変化させる原則。重量の増加だけを唯一の進行としない。

この項目で分かること

  • 負荷進行と反復進行を別の操作として扱う。
  • 進行の原則が、重量を増やす一つの決まりだけではないことが分かる。
範囲・限界・根拠を詳しく見る
比較する範囲
負荷、反復、実施量など刺激側の変化と、挙上成績が伸びたという結果側の変化を区別する。
研究対象
健康成人の研究概観と、下半身トレーニング経験者を対象にした比較介入研究。

限界

  • 単一の比較研究の結果から、進行方式の普遍的な優劣を判断することはできない。

参考にした研究

原著研究 / 原著介入研究

対象:下半身トレーニング経験者43人。

確認できること:負荷を増やす操作と反復を増やす操作を分けて検討できることを示す。

限界:下半身中心の短期比較で、他の進行変数や長期競技計画は検証していない。

Plotkin et al., Progressive overload without progressing load?

情報を確認した日:

Interaction of training volume, intensity, and frequency

トレーニング量・強度・頻度の相互作用

負荷、反復、セット、頻度、種目などを別々の変数として捉え、その組み合わせが刺激と適応に関わるという整理。

この項目で分かること

  • 複数のトレーニング変数を独立した入力として比較する。
  • %1RMと反復可能回数を、ばらつきを伴う集団関係として扱う。
範囲・限界・根拠を詳しく見る
比較する範囲
量、強度、頻度は単一の数値に換算できるものではなく、週の総量と各回への配分も区別して整理される。
研究対象
健康成人を中心とする研究概観と、多数の研究を統合した%1RMと反復可能回数のmeta-regression。

限界

  • 集団の平均データは、個人の当日の反復回数や競技3種目の具体的な設定にそのまま当てはまるとは限らない。
  • 研究で確認された変数間の関連は、そのまま特定因子の直接的な因果効果を示すとは限らない。

参考にした研究

review / position stand / systematic review / meta-regression

対象:269研究、7,289人。健康成人と若年男性、トレーニング経験者が多い。

確認できること:%1RMと反復可能回数の関係に個人差・種目差を含むばらつきがあることを整理する。

限界:特定個人の反復能力や全種目共通の換算を保証しない。

Nuzzo et al., Maximal Number of Repetitions at Percentages of the One Repetition Maximum

情報を確認した日:

Fatigue–recovery time course

疲労–回復の時間経過

セッション後のパフォーマンス、知覚、測定指標が異なる時間経過で変化しうることを、慢性適応とは分けて扱う概念。

この項目で分かること

  • セッション条件によって急性・遅延回復の測定経過が異なりうることを整理する。
  • 競技者の実務観察と、効果を比較する介入研究を区別する。
範囲・限界・根拠を詳しく見る
比較する範囲
運動直後の測定変化、主観的疲労、計画的な負荷の低減、試合前調整は性質が異なり、同一の手順として整理されるものではない。
研究対象
トレーニング経験男性の急性cross-over研究と、strength・physique競技者の実務を調べた横断survey。

限界

  • 少人数を対象とした急性研究の結果であり、すべての人に共通する回復時間を確定できるものではない。
  • 自己申告による調査資料であり、トレーニングの客観的な効果や最適な配置を直接検証した試験ではない。

参考にした研究

原著研究 / 原著横断survey

対象:strength・physique競技者246人のconvenience sample。

確認できること:予定的にtraining demandを下げる実務の定義候補と自己申告practiceを把握する。

限界:効果試験ではなく、powerliftingだけの層別結果でもない。

Rogerson et al., Deloading Practices in Strength and Physique Sports

情報を確認した日: